RESEARCH研究紹介

留学生便り

アメリカ

2022年~2023年旭 火華

Beckman Research Institute of City of Hope (Monrovia, California)

2020年~2021年島田 慎吾

Henry Ford Hospital(Detroit,Michigan)

2015年~木村 鐘康

Massachusetts General Hospital (Boston,Massachusetts)

2019年~2020年柿坂 達彦

Beckman Research Institute of City of Hope (Monrovia, California)

2018年~2019年柿坂 達彦

Balylor Scott & White Research Iistitute (Dallas,Texas)

2013年~2018年大浦 哲

Massachusetts General Hospital, Surgery Transplant Center, Harvard Medical School (Boston,Massachusetts)

2012年~2014年川村 典生

Cleveland Clinic, Transplantation center (Cleveland, Ohio)

2010年~2013年内田 浩一郎

University of Miami,Jackson Memorial Medical Center (Miami,Florida)

ヨーロッパ

2015年~2019年藤好 真人

University Medical Center Groningen (Groningen,Netherlands)

2017年宮城 久之

Alder Hey Children’s Hospital University of Liverpool, (Liverpool, England)

2009年~2012年後藤 了一

2012年~2015年財津 雅昭

Nuffield Department of Surgical Science (NDS), University of Oxford(Oxford,England)

2010年~2013年高橋 徹

2013年~2016年渡辺 正明

Karolinska Institutet (Stockholm,Sweden)

2010年~2012年青柳 武史

Hospital Beaujon(Paris,France)

オセアニア

2015年~2018年川俣 太

(Queensland Institute of Medical Research, QIMR) Conjoint Gastroenterology (Brisbane,Queensland)

2016年~2017年本多 昌平

Department of Pathology, Otago University, NZ

南極大陸

2017年~2019年宮岡 陽一

南極昭和基地(国立極地研究所)

日本国内

2020年~2024年村田 竜平

京都大学 iPS細胞研究所(CiRA)

2020年~2023年豊島 雄二郎

がんプレシジョン医療研究センター(東京都)

2015年~2020年常俊 雄介

堺市立総合医療センター救命救急センター(大阪府)

2018年~2020年江本 慎

2020年~2022年佐野 修平

がん研有明病院(東京都)

2014年~2017年正司 裕隆

2017年~2019年坂本 譲

2019年~2021年吉田 祐一

2021年~2023年阪田 敏聖

国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター(千葉県)

2012年~2015年野口 慶太

2013年廣方 玄太郎

2015年~2019年今泉 健

国立がん研究センター 東病院(千葉県)

2011年~2013年湊 雅嗣

2013年~2015年宮城 久之

2017年~2019年近藤 亨史

2019年~2021年河北 一誠

2021年~2022年奥村 一慶

神奈川県立こども医療センター(神奈川県)

2016年~2017年長津 明久

2017年~2018年大平 将史

九州大学(福岡県)

2015年~2018年柴崎 晋

藤田保健衛生大学(愛知県)

2010年~2013年大場 豪

東京都立小児総合医療センター(東京都)

巖築慶一

巖築 慶一

現在の留学先Massachusetts General Hospital

留学生活紹介

 2009年卒の巖築です。現在、ボストンのMassachusetts GeneralHospital(MGH)でポスドクとして基礎研究に従事しております。MGHの業績は多方面にわたりますが、臓器移植の分野においても多くの業績を有しており、世界で初めて生体レシピエントへの豚腎の異種移植を成功させたことをご存知の方もいらっしゃると思います。その際に内科管理の責任者としてプロジェクトを支えたDr. Leonard V. Riellaの主催する研究室に私は所属しています。basicからclinicalまで幅広く研究しているラボで、そのうち私はBasicの部分の研究に携わっています。私には2つの研究テーマ、すなわちマウス心移植モデルを用いた新規免疫抑制剤の有効性とメカニズムの検証およびiPS細胞由来の腎オルガノイドを用いてバイオエンジニアリングの手法からミニ腎臓を作成する研究をさせて頂いています。新規免疫用製剤の研究では、薬剤の有効性、同薬剤が特定の種類の制御性T細胞を増加させることに加え、その免疫抑制作用がこれまで想定されていなかったものである可能性が示されており、今後さらに多くの発見が期待されます。まとまったデータが集まったので、とりあえず途中までの結果で論文を執筆中です。人工ミニ腎臓の研究は、工学系のラボとの共同研究で、共同研究者の作成したオルガノイド入り臓器カプセルをマウスに移植し、内部に血液を還流させる手術手技を用いて、作成したミニ臓器の有用性の検証を繰り返しています。詳細は割愛しますが、生体の腎臓に類似した構造および微小環境を人工的に再現できるかが成功への鍵だと思われるのですが、工学系の研究者にその重要性を理解してもらうのに日々苦労しています。この他にも、同僚の研究の手伝いでマウスの移植手術をするなど、外科医の比重が比較的高い仕事になっています。常に成果が求められ、比較的負荷の強い研究生活とはなっていますが、自分の仕事がイノベーションにつながっていることは強く実感でき、大きなやりがいを感じています。このような恵まれた環境で仕事ができるのも、人繰りの厳しい中送り出してくださった武冨先生ならびに教室のご配慮のおかげであり、この場を借りて感謝申し上げます。私生活に関しては単身赴任の形でこちらに赴任していることもあり、そこまでアメリカを楽めているわけではないとは感じています。一人暮らしの限界も日々感じ初めており、今後の家族のあり方を考慮すると、そろそろ帰国するタイミングとも考えております。

今後どのような選択をしたとしても、ここで学んだことや成果を何かしらの形で教室に還元できれば嬉しいと思いますので、何か相談ごとなどがありましたらどうぞご連絡いただければと存じます。今後ともよろしくお願い致します。

2023-24年の業績

論文

  1. Thiago J. Borges,Yoshikazu Ganchiku, Jeffrey O.Aceves, Ronald van Gaal, Sebastien G.M. Uzel, IvyA. Rosales, Jonathan E. Rubins, Kenichi Kobayashi, Ken Hiratsuka, Murat Tekguc, Guilherme T. Ribas,Karina Lima, Rodrigo B. Gassen, Ryuji Morizane, Jennifer A. Lewis, Leonardo V. Riella,Exploring immune response toward transplanted human kidney tissues assembled from organoid building blocks,iScience,2024,27 (10),110957,Original Article,10.1016/j.isci.2024.110957
  2. Orhan Efe,Rodrigo B Gassen, Leela Morena, Yoshikazu Ganchiku, Ayman Al Jurdi, Isadora T Lape, Pedro Ventura-Aguiar, Christian LeGuern, Joren C Madsen, Zachary Shriver,Gregory J Babcock, Thiago J Borges, Leonardo V Riella,A humanized IL-2 mutein expands Tregs and prolongs transplant survival in preclinical models.,J Clin Invest,2024,134 (5),e173107,Original Article,10.1172/JCI173107

学会

  1. American Transplant Congress,Philadelphia,2024/6/1-6/5,Yoshikazu Ganchiku,R.B.Gassen,O.Efe,Z. Shriver, G. J. Babcock, T. J. Borges, L. V.Riella,Tissue-Resident ST2+ Regulatory T Cells Promote Cardiac Transplant Tolerance Induced by aMutein IL-2,Oral Abstract session
藤居勇貴

藤居 勇貴

現在の留学先University of Nebraska Medical Center

留学生活紹介

 オクラホマ大学での研究留学を終え、2024年6月に帰国となりました。本稿では、3年間の研究留学生活を総括したいと思います。 ①アメリカ生活:コロナ禍の混乱はだいぶ収まりを見せた頃、インフレ・円安前に留学できたことは幸運でした。着いた当初は1ドル105円程度、ガソリン代も60円/L程度と安かったですが、3年間で留学生を取り巻く経済状況は一変し、体感で出費速度は2倍以上になりました。アメリカでの食事は“高い、不健康、(そこまで)美味しくない”、と辛いものがありました。あれだけ多種多様な人種が住んでいるのに、食の多様性がないことに驚きです。ネブラスカ・オクラホマは、想像していた“西部劇のアメリカ”に近い土地で、個人的には大満足でした。人々は優しく、治安も良く、Old Americaの世界を満喫してきました。 ②研究生活:点数をつけるとすると70点程度の及第点です。2つ大きな研究に関わりましたが、いずれも論文投稿に至らずという状況です。ただ相当な時間を実験に費やしたため、これ以上の進捗を望むのは難しかったと思います。 自分に運、ひらめき、実験センスのどれかがもう少しあれば、別の結末となっていたかもしれません。在籍中にラボからCNS (Cancer、Nature、 Science) 姉妹誌、CancerDiscoveryといったトップジャーナルへのpublicationがあり、第一線の癌研究に携われたのは大きな財産です。 ③ バケーション: ボスの信条は“Accomplishment will never be possible without hard work”であり、実験のコアタイムは他ラボより長かったです。週末もラボにいることが多かったですが、チャンスを見つけてはアメリカ国内旅行に勤しみました。特にお気に入りの街はキーウェスト、サンラボで のPIとの一幕60タフェ、ニューオリンズです。いずれも独特の文化が根付いており、街歩きが楽しめる場所です。国立公園も10 ヶ所訪れることができ、いずれの景観も素晴らしかったです。ホワイトサンズ・カールズバッド国立公園はアメリカ中西部を訪れるならぜひ立ち寄ってみてください。

 最後になりますが、自分が留学に挑戦できたのも武冨教授をはじめとします消化器外科学教室Iの手厚いサポートのおかげです。このような貴重な機会を与えて頂き、誠にありがとうございます。

2023-24年の業績

論文

  1. Nicholas J Mullen,Ravi Thakur,Surendra K Shukla,Nina V Chaika,Sai Sundeep Kollala,Dezhen Wang,Chunbo He,Yuki Fujii,Shikhar Sharma,Scott E Mulder,David B Sykes,Pankaj K Singh ,ENT1 blockade by CNX-774 overcomes resistance to DHODH inhibition in pancreatic cancer ,Cancer Lett,2023,552,215981,Original Article,36341997
  2. Fujii Y,Mehla K,Measurement of Metabolic Alteration in Immune Cells Under Hypoxia,Methods Mol Biol,2024,2755,201-212,Methodologies or Methods,38319580
  3. Chunbo He,Chunbo He,Dezhen Wang,Surendra K Shukla,Tuo Hu,Ravi Thakur,Xiao Fu,Ryan J King,Sai Sundeep Kollala,Kuldeep S Attri,Divya Murthy,Nina V Chaika,Yuki Fujii,Daisy Gonzalez,Camila G Pacheco,Yudong Qiu,Pankaj K Singh,Jason W Locasale,Kamiya Mehla,Vitamin B6 Competition in the Tumor Microenvironment Hampers Antitumor Functions of NK Cells,Cancer Discov,2024,14,176-193,OriginalArticle,37931287

学会

  1. The American College of Surgeons,Clinical Congress 2023,Boston,USA,2023/10/22-10/25,On-Demand,Yuki Fujii,Ching-Wei Tzeng,Yi-Ju Chiang,Daniel M Halperin,Arvind Dasari,Michael P Kim,Matthew H G Katz,Jeffrey E Lee,Naruhiko Ikoma ,Survival Impact of Incidence of Lymph Node Metastasesand Radical Resection for Duodenal NeuroendocrineTumors: Analyses of the National Cancer Database 2004-2016.,Scientific Forum,Oral Presentation
吉田拓人

吉田 拓人

現在の留学先Harvard T.H. Chan School of Public Health

留学生活紹介

 二年間の留学報告をさせて頂きます。前半は、米国Harvard T.H.Chan School of Public Healthに入学し、MPHを取得しました。大学院で得た知識、友人、マイノリティ体験、comfort zoneを抜ける経験 は一生の財産となりました。知識面では特に因果推論は目から鱗で、分析手法に興味がある方にはぜひ勉強して欲しい分野です。また院の集大成として、疫学講師三名・学生30名の前で研究プレゼン30分+議論1時間という地獄の様な最終課題がありましたが、それに耐えた事も大きな財産です。途中では、ホンジュラスで手術ボランティアも行ってきました。この活動には自分より二つ下のシンガポールの女医さんと参加しましたが、日本で味わった事のない様なあらゆる面での圧倒的な実力差を見せつけられ、世界の広さを実感しました。 卒業後は、カナダのトロント大に移り医療AIの研究をしました。現在では手術合併症は、世界の死因の第三位とされ、実は公衆衛生学的にも注目されています。PIのDr. Madaniは、元より手術を言語化し、合併症の原因を探る研究をしていました。深層学習の登場により、その手法を応用し熟練者の精神モデルを手術動画に投影したAIは大きく注目されました。PIから学んだ事は数知れませんが、最も印象に残ったのはイシューから始める事です。つい人はAIで何ができるのかを考えがちですが、大切なのは、困っているイシューを考え、その解決策を探る事です。どこに介入したら合併症を防げるか、必要に応じてAIを使い(解決策が必ずしもAIである必要はない)、外科医のスキルを増強させるといった技術革新に対する姿勢に大変感銘を受けました。帰国直前にはフランスで行われた外科医療AIセミナーに参加しました。講義の他にアイディアピッチのグループ課題があり、毎晩夜中1-2時まで作業しましたが、特に抵抗なく班員と作業し、実際の課題では優勝する事ができ、二年間での自分の成長を強く感じました。 私の留学の歩みは、決して計画したものではなく、なんとか首の皮一枚繋がった状態でもがいていた様なものですが、その結果得られた経験の一つ一つが繋がっていきました。やらない後悔よりやって後悔というのは本当だと思います。何か挑戦したいものがある人は、人生一度きりですので、ぜひ諦めずに挑戦して欲しいです。

 最後になりますが、今回、このような機会を与えてくださった武冨教授、医局員のみなさま本当にどうもありがとうございました。引き続きご指導いただけますと幸いです。

2023-24年の業績

論文

  1. Lee J,Bazan M,Wong J,Yoshida T,Jantarabenjakul W,Lin Y,Papatheodorou S,The Efficacy of Mobile Applications for Reducing Depression in Adolescents and Young Adults: A Meta-analysis of Randomized Control Trials., Journal of Telemedicine and Telecare.,2024,19:1357633X241273032,,Original Article,doi: 10.1177/1357633X241273032. Epub ahead of print. PMID: 39295471.
  2. Tsuzaka S,Konishi Y,Mino K,Honma N,Kawamura H,Yoshida T,Taketomi A. ,Comparative strength of ligature points achieved by various surgical knot-tying techniques: an observational study using Maxon™ monofilament sutures. ,Surg Today,2024,Original Article,doi: 10.1007/s00595-024-02936-5. Epub ahead of print. PMID: 39340663.
  3. 学会発表

    1. 第22回日本ヘルニア学会学術集会,新潟,2024/05/24-25,吉田拓人,人工知能のヘルニア手術への応用について,特別シンポジウム,口演
    2. 第8回JASE WEBINAR,Web,2024/5/28,吉田拓人,外科医のための外科教育×AI:入門編,口演
    3. the 2024 SAGES Annual Meeting,Cleaveland,2024/04/17-20,Yoshida T,Laplante S,Protserov S,Hunter J,Mashouri P,Masino C,Brudno M,MadaniA,Artificial Intelligence for Surgical Coaching: Training and Testing of a Novel Computer Vision Algorithm for Assessing Adequacy of Retraction and Exposure During Laparoscopic Cholecystectomy
    4. the 2024 SAGES Annual Meeting,Cleaveland,2024/04/17-20,Yoshida T,Watanabe Y,Park Y,Sekikawa T,Kitamoto N,Aoki F,Nakamura H,NovelCamera Navigation Training: A Prospective Study on Clinical Engineers National Training in Japan
    5. the 2024 SAGES Annual Meeting,Cleaveland,2024/04/17-20,Yoshida T,The Use of Artificial Intelligence in Colorectal Oncology,Unveiling the Futureof Colorectal Surgery: State-of-the-Art TechnologicalAdvancements
    6. the 2024 SAGES Annual Meeting,Cleaveland,2024/04/17-20,Lapergola A,Stramigioli S,Yoshida T,Madani A,Perretta S,Keller D,Feasibility of Automatic Verification of the Critical View of the Inferior Mesenteric Pedicle Ligation with Artificial Intelligence.
    7. the 2024 SAGES Annual Meeting,Cleaveland,2024/04/17-20,Roztocki M,Hameed M,Yoshida T,Madani A,Protecting Privacy from Surgical Videos:Development and Validation of an Open-Source ArtificialIntelligence-Based Pipeline for Automated Extraction of Extracorporeal Recording.
    8. th 47th Division of General Surgery Annual Assembly,Toronto,2024/5/28,Yoshida T,Hunter J,Protserov S,Mashouri P,Masino C,Keller D,Brundo M,Madani A,Chadi S.,Integrating Artificial Intelligence into Surgical Coaching: A Focus on Retraction Assessment in Total Mesorectal Excision
    9. th 47th Division of General Surgery Annual Assembly,Toronto,2024/5/28,Yoshida T,Laplante S,Protserov S,Hunter J,Mashouri P,Masino C,Brudno M,Madani A. ,Artificial Intelligence for Surgical Coaching: Training and Testing of a Novel Computer Vision Algorithm for Assessing Adequacy of Retraction and Exposure During Laparoscopic Cholecystectomy
    10. the American Society of Colon and Rectal Surgeons (ASCRS) Annual Scientific Meeting,Baltimore, 2024/06/1-4,2024/6/3,Yoshida T,Hunter J, Protserov S,Mashouri P,Masino C,Keller D, Brundo M,Madani A,Chadi S.,Integrating Artificial Intelligence into Surgical Coaching: A Focus on Retraction Assessment in Total Mesorectal Excision
大渕佳祐

大渕 佳祐

現在の留学先国立がんセンター東病院

留学生活紹介

 当初3年の予定でしたが、延長をお願いして今年で4年目になりました。4月からは砂川市立病院で勤務致します。長期国内留学を許可して頂いた武冨教授、医局並びに同門の先生方にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。  2024年4月に念願の内視鏡技術認定医を取得しました。東病院では胃外科と大腸外科で5名申請し、大腸外科の同期と2人合格しました。左手の使い方、展開の定型化、言語化を強く意識するようになりました。現在は側方郭清や前方骨盤内臓全摘症例などの拡大手術を中心に学んでおります。当院研修制度は 麻酔科や病理診断科が必須、自由選択でAI、食道外科、胃外科を選択し、執刀件数はストマ関連を含めて約130件です。また直腸癌の画像評価と術前治療適応、術式の選択、再発症例に対する集学的戦略などを学びました。AIや体腔内吻合の長期成績や術前治療など論文化を進めております。学会活動は基本的に上級演題となるので名前を覚えてもらえる、東病院で他領域のご高名な先生ともとつながることができます。高い志を持つ近い学年の先生と切磋琢磨し、TaTMEで世界有数の経験を有する施設で大腸癌診療に携わる中で、骨盤の臨床解剖、臨床試験の取り組みや、スタッフの手術技術、マネジメントなど実際に働いて初めてわかること、感じることも多かったです。なにより臨床留学で一番大切なのは精神力です。有名な外科医に厳しい指導はつきものです。  

 今後さらに研鑽を重ねてこの留学で得た知識を還元していきたいと思います。伊藤先生をはじめ大腸外科の先生方には大変お世話になりました。またこれまでご指導頂いた先生方に心より深謝いたします。

海老沼翔太

海老沼 翔太

現在の留学先京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻
医療経済学分野

留学生活紹介

 2022年4月より京都大学大学院医学研究科の医療経済学分野に所属し、研究に従事しております。博士課程3年目になり、いくつか自分で計画立案してきた研究も結果が出せて論文化も達成できました。順調にいけば来年度には大学院卒業できそうです。  いくつかの研究テーマを進めさせてもらい、また、教室で運営されているプロジェクトに参加させてもらい、それらの合間に非常勤の仕事をこなすというふうにして日々を過ごしています。大学院前半2年間は公衆衛生・疫学に関する基礎的な講義を受け、自分自身の研究テーマを企画・立案しては修正し、その際にまた勉強しなおすというインプット中心の日々でしたが、今年は学会発表の機会を多くいただき、また論文執筆にも進ませてもらい、主にアウトプットする段階に進みました。この原稿を書いている時点ではまだ実施している研究のうち一本しか論文のアクセプトが得られていませんので、引き続き残りの研究を在学中に結果を出せるように精進していきます。  新コロの騒動の中で大学院に入学し、最初の頃はほとんど大学院の関係者と接点を持つ機会がなく寂しいものでしたが、最近はだいぶ交流の機会が増えてきました。大学院関係だけでなく、大学・高校時代の懐かしい友人と連絡がつながることもあり、積極的に連絡をとって会う機会を作っています。人とつながりのあることの楽しさを実感する今日この頃です。  大学院入学してから再開した剣道についても、稽古を継続しています。京都大学剣道部さんにお邪魔したり、最近は北大剣道部OBの稽古会が企画されてそこに参加したりするなどして、旧交を温めることも含めて精力的に活動しています。ただ、昨年の冬頃に腰椎ヘルニアを再発し、一時期は自力歩行もままならないほどひどくなることもありました。いまは少し落ち着いていますが、腰を大事にして日々過ごすようにします。   

 いよいよ最終学年に差し掛かります。せっかく外の施設へ国内留学の機会を頂きましたので、留学して良かったと思える成果を残し、持ち帰れるものがあればと考えています。気を引き締めなおしてがんばっていきます。

2023-24年の業績

論文

  1. Shota Ebinuma,Susumu Kunisawa,Kiyohide Fushimi,Nobuki Ichikawa,Tadashi Yoshida,Shigenori Homma,Akinobu Taketomi,Yuichi Imanaka,Comparativeretrospective study on surgical outcomes of handsewn anastomosis versus stapling anastomosis for colectomy using a nationwide inpatient database in Japan with propensity score matching,Annals of Gastroenterological Surgery,early review,original article,https://doi.org/10.1002/ags3.12870
  2. 学会発表

    1. 第124回日本外科学会定期学術集会,愛知県常滑市,2024/4/18-20,海老沼翔太,國澤 進,愼 重虎,伏見清秀,市川伸樹,吉田雅,柿坂達彦,本間重紀,武冨紹信,今中雄一,結腸がん切除手術における手縫い吻合と器械吻合の実施状況と臨床的アウトカムに関するDPCデータを用いた研究,サージカルフォーラム,口演
    2. 第79回日本消化器外科学会総会,山口県下関市,2024/7/17-19,海老沼翔太,國澤 進,愼 重虎,伏見清秀,柿坂達彦,本間重紀,武冨紹信,今中雄一,腹腔内癒着防止吸収性バリアの癒着性腸閉塞に対する効果についての検証,ミニオーラル,口演
    3. 第83回日本公衆衛生学会総会,北海道札幌市,2024/10/29-31,海老沼翔太,髙田大輔,佐々木典子,伏見清秀,今中雄一,DPCデータを用いた耐性菌感染症研究とカルバペネム使用に関する課題,ポスター