第33回北海道肝がん研究会が開催されました

2023/07/24

お知らせ

令和5年7月21日、第126回北海道肝がん研究会が北海道大学 学術交流会館にて、当科武冨紹信教授が代表世話人となり開催され、肝がんに対する外科的、内科的、血管内治療的な見地から様々な発表があり、3sessionともに活発な討論がなされました。

Session Ⅰでは当科 柿坂達彦先生が座長を務められ、当科からは一般演題として3名の先生からご講演頂きました。
市立稚内病院 外科 坂本譲先生より「右側肝円索を伴う肝内胆管癌に対して肝左葉切除を施行した1例」、北海道大学病院 消化器外科Ⅰ 志智俊介先生より「GC療法が著効しconversion surgeryを行ったリンパ節転移を有する肝内胆管癌の1例」、JA北海道厚生連 札幌厚生病院 外科 磯川真里奈先生より「腹部手術歴を有する症例に対する腹腔鏡下肝切除」と題し、ご講演を頂きました。
坂本先生の講演では右肝円索の破格に絡めた脈管走行の解剖について網羅的な知識が得られました。志智先生の講演ではGC療法後のconversion surgeryについて、リンパ節の節外浸潤の一例や当科の手術成績、記録と併せた考察をご教示頂きました。磯川先生の講演では腹腔鏡と開腹の両方のメリットを活かしたハイブリッドでの肝切除の1例について手術動画を交えてご解説頂きました。

Session Ⅱでは札幌医科大学 医学部消化器内科講座 講師 阿久津 典之先生が座長を務められ、RFAやTACE等の非手術治療に関するご講演が5題ありました。

Session Ⅲでは旭川医科大学病院 内科(代謝・免疫・消化器・血液) 講師 澤田 康司先生が座長を務められ、当科からは北海道大学病院 消化器外科Ⅰ 相山健先生より「アテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法によりconversion surgeryが可能であった肝細胞癌の2例」と題して、近年肝細胞癌に良好な治療成績を収めているアテゾリズマブ・ベバシズマブ療法を利用してのconversion surgeryやC-TACEの今後の可能性についてご講演頂きました。

また特別講演として、北海道大学病院 消化器内科 教授 坂本直哉先生が座長のもと、近医大学医学部 消化器内科 特命准教授 上嶋一臣 先生より「複合免疫療法時代におけるAtezolizumab+Bevacizumab療法の位置づけ」と題して、ご講演頂きました。前半では肝細胞癌のintermediate stageにおいて、アテゾリズマブ・ベバシズマブ後のconversion sugeryやC-TACEの治療成績についてご教示頂きました。後半は肝細胞癌のAdvanced stageにおいてアテゾリズマブ・ベバシズマブを中心とした薬物療法についてevidenceに基づいたフローチャートを提示して頂き、初学者である私にも大変明瞭である治療戦略についてご講演頂きました。
私は現在専攻医Ⅰ年目で大学病院の外科病棟で肝チームをローテションしているタイミングで本会に参加頂きました。今回の先生方の講演を拝聴できたことによって、病棟や外来の患者様に対して行われている治療の裏にあるevidenceや今後の治療展望が私の中でさらに明瞭に理解、イメージできるようになり、大変有意義な時間を過ごすことができたと実感いたしました。

肝がんに対する各専門科同士での科の垣根を越えた活発な議論が行われ、北海道の肝がん治療において大変実りのある会になったと確信しています。お忙しい中ご講演くださった先生方、ご参加頂きました皆様に心より感謝申し上げます。

(文責:森越 健之介)

 

 

 

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