札幌外科漢方セミナーが株式会社ツムラ主催のハイブリッド形式で開催されました。
2023/10/02
セミナー
令和5年9月27日、「札幌外科漢方セミナー」が株式会社ツムラ主催のハイブリッド形式で開催されました。座長は北海道大学大学院医学研究員 消化器外科学教室Ⅰ 武冨 紹信先生が務められました。
第一講演は一般演題として北海道医療センター 外科 医長 三野 和宏先生より『当院における大腸手術後大建中湯内服症例の検討』と題してご講演頂きました。大建中湯の内服開始のタイミングをパラメーターに術後の麻痺性イレウスの発症率を検討したスタディについてご講演頂きました。術後に麻痺性イレウスになってから大建中湯を使う選択の他に、予防的な投与や術前からの投与など様々な選択肢をご教示頂きました。
第二講演は特別講演として徳島大学大学院医師薬学部研究部 消化器・移植外科学 教授 島田 光生 先生より『外科漢方のNew Normal』と題してご講演頂きました。茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)や大建中湯の肝庇護的な作用や、十前大補湯の免疫抑制解除効果を島田教授自ら研究されたevidenceを交えながらご講演頂きました。また漢方薬の腸内細菌に与える効果や腸管免疫に与える影響、周術期のフレイル予防目的の漢方を絡めたプロトコル、ひいては再生医療における漢方薬の新たな可能性など、目から鱗な漢方薬のevidenceを次々と御解説頂き、大変興味深く拝聴しました。
ハイブリッド形式で開催された本セミナーでしたが、現地でもweb上でも質問が上がり活発な議論が交わされ、大変有意義なものになりました。
漢方薬は副作用が比較的少なく使用されやすい薬剤ですが、今回のセミナーで漢方薬の明確なevidenceを簡潔明瞭にご講演頂き、処方の選択肢も増えさらに深みのある薬剤選択ができるようになったと感じます。ご講演下さった三野 和宏先生、島田 光生先生、またご参加下さった皆様に心より感謝申し上げます。
(文責:森越 健之介)