院長就任のご挨拶(小樽市立病院 越前谷勇人先生)

2025/05/08

お知らせ

平成2年卒業の越前谷勇人と申します。令和7年4月から小樽市立病院の院長に就任いたしましたので皆様に一言ご挨拶申し上げます。
まず今回私が院長職に就けたのは北大第一外科の総力によるものであり同門の皆様には感謝の念に堪えません。そして同時にこのような役割を次の世代へいかにして継承し発展させていくかということに注力しています。皆様のより一層のご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。

私たちが入局した当時は、現在のようにハラスメントなどが当たり前のように叫ばれる時代とは程遠く厳しい指導の下に人の背中を見て学びなさいとよく言われたものです。当時の私にとっては十分に理解できませんでしたが今となって振り返ってみると、目に見えない部分を自分で勉強することにより想像し補完しなさい。それが君たちの成長に繋がりますよという隠された親心であったことが理解できます。思い返せば北大第一外科の教育と指導は厳しさの中にも心の温もりを感じることができるものでしたが、現在はいわば即結即答に近い対応が求められていると感じています。これも時代の流れなのでしょう。我々の伝統と精神とをこれからの医療を担う若い世代に伝えるためには、現在の若者たちの肌感覚に見合った教育が必要だと感じています。

当院は先日、偉大なる指導者並木昭義局長の4期16年にわたる退任祝賀会を開催いたしました。当初脳外科・心臓血管外科・精神科以外は市立病院には不要であるという統合新築に対するネガティブキャンペーン満載の時期に、並木局長が登場し強力なリーダーシップを発揮して2014年12月に2つの市立病院の統合新築事業を完成させ、小樽後志2次医療圏に地域の構造的改革を成し遂げましたが、その後の地道な医師会活動にもかかわらず医師会の諸先生たちに心の底から小樽市立病院の存在意義を理解して頂くまでには長い道のりが必要でした。

小樽市立病院に深く刻まれた並木先生の功績は単なる管理運営を越え、まさに革新的なものであり多くの変革と成長とを日々経験してきました。そして2019年12月から始まったコロナ禍を経て自治体病院の重要性と必要性とを皆が痛感し、コロナ禍により自然に役割分担と地域連携との重要性を各医療機関が認識した結果、最近になって漸く小樽市立病院を中心とする急性期医療・災害救急医療の方向性が確立しました。これからはこのベクトルの方向性を見失うことなく前進させることが、私に課せられた使命だと痛感しております。

自治体病院はその設立の経緯から、やりたい医療を行うところではなく市民から求められる医療を行わなくてはいけません。そのために当院では病院組織目標として①Mission、②Vison、③Valueの3つの柱(MVV)を打ち立てました。それぞれ、果たすべき役割として①「市民が求める全人的医療」を行い、あるべき姿として②「信頼できる病院」「選ばれる病院」であること、やるべきバリューとして③「断らない医療」を行うことです。これらの目標とくに③を達成するためには、自治体病院の職員としての意識改革とそれをサポートする仕組み作りが不可欠です。
そのために当院でも漸くこの秋からロボットを導入することが決定し、総合診療科を開設することにより断らない医療に取り組みMVVを実践していきます。

最後にはなりましたが、第一外科同門の諸先輩方ならびに私がかかわってきた後輩諸氏および小樽市立病院の職員と地域の皆様に育てていただいたご恩を第一外科および地域医療に還元することをお約束し結びと致します。今後とも皆様の温かいご支援ご協力の程宜しくお願い申し上げます。

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