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市民公開講座・便失禁とバイオフィードバック療法を開催しました

2025/07/14

お知らせ

2024年6月28日、便失禁とバイオフィードバック(BF)療法をテーマとしたオンライン市民公開講座を開催しました。

本講座では、成人領域から自治医科大学の味村俊樹先生、札幌いしやま病院の秋月恵美先生、小児領域から慶應義塾大学の藤野明浩先生、神奈川県立こども医療センターの望月響子先生をお招きし、それぞれの立場から便失禁の診療とBF療法の実際についてご講演いただきました。
また、当科小児グループが現在取り組んでいるBF療法用医療機器の開発について荒から紹介し、術後の排便機能障害に対する新たな支援方法の可能性を共有しました。

後半では、直腸がん術後や鎖肛術後に便失禁を経験された患者さんとご家族にもご参加いただき、実生活における便失禁の影響や対処法、診療上の課題などについて率直なご意見を伺いました。

この対話を通じて、便失禁がもたらす身体的・心理的負担をあらためて実感するとともに、患者さん視点での診療の必要性を再確認する貴重な機会となりました。

本講座には100名を超える事前登録をいただき、当日は60名以上の方にご参加いただきました。
参加者の皆さまからは、BF療法の実践例や患者さんの声を直接聞くことができた点について高い評価をいただき、「ぜひ継続的に開催してほしい」といったご意見も多数寄せられました。

続いて、本講座終了後には、医師・研究支援者・患者・ご家族による「コンセンサスミーティング準備検討会」を開催しました。
この検討会では、便失禁診療における課題を整理し、特に小児領域における診療ガイドラインの整備や、排便機能の客観的評価指標の構築に向けた検討を行いました。
今後はさらに、皮膚・排泄ケア認定看護師、理学療法士、生物統計家などの専門職も交えてコンセンサスミーティングを開催し、社会実装に向けた研究を推進していく予定です。

成人領域と小児領域の医師が協力して、便失禁という共通のテーマで市民公開講演・検討会を行う機会は非常に貴重であり、領域を越えた知見の共有が今後の診療・研究に大きな示唆をもたらすものであったと感じています。

会の開催にあたっては、医局からもご支援ご協力をいただきありがとうございました。

本市民公開講座・検討会は、日本医療研究開発機構(AMED)医療機器開発推進研究事業(小児用医療機器の実用化を目指す臨床研究・治験等)「小児肛門機能障害に対する機能評価・治療用医療機器開発の臨床評価準備」(研究開発代表:荒桃子、北海道大学大学院医学研究院 消化器外科学教室I)、AMED医療技術実用化総合促進事業の一環として開催しました。

(文責 荒桃子)

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