第11回肝胆膵内視鏡外科セミナーが開催されました。
2025/08/12
お知らせ
令和7年8月1日、「第11回肝胆膵内視鏡外科セミナー」がオンライン形式で開催されました。今回のテーマは「肝切除について」です。
一般演題の座長は柿坂達彦先生(消化器外科教室Ⅰ 講師)、特別演題の座長は武冨紹信先生(消化器外科学教室Ⅰ 教授)が務められました。
一般演題では、まず志智俊介先生(消化器外科Ⅰ 医員)より「当科におけるロボット支援下肝切除の現状」と題したご発表がありました。
ロボット支援下肝切除における長所と短所が整理され、特に「出血量が少ない一方で手術時間が延長する」という傾向に言及されました。
手術時間短縮の工夫として、デュアルコンソールの活用や助手ポートからの操作、
脱転操作・プリングル確保における腹腔鏡併用の有用性が紹介され、2本の術中ビデオを用いて詳細に解説されました。
続いて藤好直先生(消化器外科Ⅰ 特任助教)より、「腹腔鏡下肝切除における適切なグリソン処理」と題した発表が行われました。
腹腔鏡下肝切除の変遷とともに、グリソン鞘処理の技術的要点が解説され、ステープリング技術の進歩についても紹介されました。
術中動画を用いたわかりやすい説明のもと、胆汁漏を回避してきた実績が技術的裏付けとともに示されました。
特別講演では、国立がん研究センター東病院 肝胆膵外科長 後藤田直人先生より、「低侵襲肝切除 注意したいポイント」と題してご講演いただきました。
講演前半では、ロボット支援手術の利点と課題が整理され、がんセンター東病院では肝切除の約90%が低侵襲手術で行われている現状が紹介されました。
系統的切除や高難度部分切除はロボット、中・低難度部分切除は腹腔鏡、巨大腫瘍は開腹と、術式の適応選択についての実際的な運用が示されました。
また、ロボットポートの配置によりステープラーが届きにくくなるという技術的課題についても指摘され、
右葉切除・左葉切除のロボット手術ビデオを供覧しながら具体的にご解説いただきました。
後半では、若手医師の育成やチーム強化にも話題が及び、
実際に若手医師が作成した手術動画を用いたビデオカンファレンスの実践例が紹介されました。
特に、実際のカンファ形式の実演は、参加者にとって学びの多い機会となりました。
本セミナーは、肝胆膵外科領域における低侵襲手術の最前線と、今後の人材育成のあり方を学ぶ上で極めて有意義な内容であり、
参加者にとって臨床・教育の両面で多くの示唆を得る貴重な機会となりました。
ご講演いただきました先生方および開催にご尽力いただきました株式会社ジョンソンエンドジョンソンのみなさま、ありがとうございました。
(文責:伊藤 光平)