第9回札幌外科漢方セミナーが開催されました
2025/09/19
お知らせ
2025年9月10日、株式会社ツムラ主催による第9回札幌外科漢方セミナーが、ニューオータニイン札幌およびオンラインのハイブリッド形式で開催されました。座長は北海道大学大学院医学研究院 消化器外科学教室Ⅰの武冨紹信教授が務められました。
はじめに、KKR札幌医療センター消化器センターの深作慶友先生より「大建中湯の大腸切除クリニカルパス導入の試み」と題した発表がありました。大建中湯をクリニカルパスに組み込むことで、患者への薬剤教育が行いやすくなり、また病棟スタッフ間での使用方針が統一され、周術期管理の現場で有用であったことが紹介されました。
続いて、名古屋大学 外科周術期管理学寄附講座/消化器・腫瘍外科 希少がんセンターの横山幸浩教授より「腸内細菌から漢方薬をサイエンスする ~茵蔯蒿湯~」と題した特別講演が行われました。茵蔯蒿湯に含まれるGeniposideが腸内細菌の作用によってGenipinに変換され、胆汁分泌を促進するメカニズムについて解説がなされました。さらに、腸内細菌叢のバランスが崩れた患者では効果が得られにくいこと、便性状や便中有機酸を用いた腸内環境の評価、さらには便と茵蔯蒿湯を混合して変換効率を調べる研究など、腸内細菌を介した漢方薬の作用に関する最前線の知見が提示されました。
多くの医療従事者が参加し、外科周術期における漢方薬の活用について活発な議論が交わされました。本セミナーは、漢方薬の新たな役割を科学的に再考し、臨床応用の可能性を広げる上で大変有意義な機会となりました。ご参加いただきました方々並びにご主催いただきました株式会社ツムラの皆様、この度は誠にありがとうございました。