常俊医師が国内留学を終えて戻られました

2020/06/04

お知らせ

2015年4月から2020年5月までの5年間、大阪の堺市立総合医療センター救命救急センター(救急外科)へ国内留学させていただき、この度大学に帰ってまいりました。
Acute Care Surgery(ACS)はもともとの外傷外科に、救急外科・外科集中治療を加えた新しい外科の一分野です。北海道において特に外傷外科を専門的に研修できる施設はなく、第一外科の同門の先輩である臼井章浩先生を頼って渡阪させていただきました。
堺市は大阪市の南隣の人口85万人の政令指定都市です。生まれてこの方北海道を出たことのない私にとって関西の風土はなかなかのものでした。堺市立総合医療センター救命救急センターにおいて私はACS teamに属し、重症外傷・急性腹症・その他の外因性の重症救急症例に明け暮れる毎日で、刺激的な日々を過ごさせていただきました。堺救命の売りは「外科医・整形外科医など各専門医が救急・外傷を専門としてやる」ところにあり、ここで私が外科医として自信と責任を持って働くためには、早すぎても遅すぎてもダメだったわけで、ベストなタイミングで送り出していただいた、受け入れていただいたと感謝しています。
5年間でACS teamにおける手術は1700件、うち外傷手術500件を数えました。そのほとんどに関わり、貴重な経験を積むことができました。目の前で消えかかる命をメスで繋ぎ止めて元気に歩いて帰す事ができた喜びと、その裏での悔しい症例をいくつも経験しました。
リサーチ時代から挫折していた学術面でも、英文1本、和文2本論文を出し、また日本の外傷診療の基礎たるJATECの改訂作業にも関わる事ができました。また、資格が全て。ではないですが、自分に必要な救急・外傷・ACS・腹部救急の専門医も取得することができました。
札幌に戻り、北大病院集中治療部へ配属となりました。今までやってきたこととはまた全く異なる新しい分野で、「四十の手習い」状態ですが、生命の危機への嗅覚を鈍らせず頑張りたいと思います。将来は北海道にACSの文化を根付かせることが目標ですが、今後とも皆様方の御指導・御鞭撻の程何卒よろしくお願い申し上げます。

(文責:常俊 雄介)

写真:堺市立総合医療センター

堺市立総合医療センター

救急医学会にて救命センターの仲間たちと

救急医学会にて救命センターの仲間たちと

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